麦芽100%ビール「サッポロクラシック」のホッホクルツ製法とは
1985年に北海道限定で販売を開始したサッポロクラシック。サッポロビールの工場は全国8箇所にありますが、唯一北海道恵庭市の工場がこのビールを手がけています。
ビールの出荷量が減少傾向にある中、2001年以降17年連続で売上アップを達成しており、消費者から長年愛されているビールの1つです。私はまだ行ったことがありませんが、北海道のコンビニやスーパーにはサッポロクラシックがびっしり並んでいるとかいないとか。
ただ北海道限定といいつつも、遠く離れた福岡のスーパーに売っていることもあり、北海道の地を踏んだことがない私でも飲んだことがあります。たまたま見つけて買ってきたので、今日は「サッポロクラシック」を隅々までご紹介します。
麦芽100%がもたらす"コク"
サッポロクラシックの特徴の一つは、「麦芽100%」であること。
麦芽100%とは、原料が麦芽及びホップのみであり、米やコーン、スターチ等の副原料が使われていないことを言います。
日本の代表的な麦芽100%ビールは、
- サントリー「ザ・モルツ」「ザ・プレミアム・モルツ」
- キリン「一番搾り」(2009年~)
- サッポロ「エビスビール」
一方で、アサヒの「スーパードライ」やキリンの「キリンラガー」には米、コーン、スターチが使われているため麦芽100%ビールではありません。この違いは何でしょうか。
基本的に、ビールから感じるコクや重みは麦芽に由来しています。もっと厳密に言うと、大麦を発芽させ、麦芽にする際に発生する酵素(プロテアーゼ)によって麦芽中に含まれるたんぱく質から作られる「アミノ酸」に由来しています。
副原料が使われるビールは、麦芽比率が少ない分アミノ酸の発生が抑制され、口当たりが軽くどちらかというとキレのあるビールになるわけです。スーパードライの人気が示すように、日本人はスッキリしたビールを好む傾向にあるかもしれませんね。
コクがあっても飲みやすい
しかし、麦芽100%だからといって必ずしもコク重視、重みの強い偏ったビールになるというわけではありません。実際、サッポロクラシックもコクがある中でどこか清涼感のある味わいになっています。
この清涼感の秘密は、缶の裏にも書かれている「ホッホクルツ製法」だそうです。
このワードをgoogleで検索すると、大体サッポロクラシックの記事が上の方に出てきますが、色々と読んでみても「ドイツ古来の醸造方法」であり「高温短時間仕込製法」であることしかわかりません。
なぜ、高温短時間で仕込むとスッキリとした味わいになるのでしょうか。
ビールの製造工程は、大きく「製麦(大麦の発芽と粉砕)」→「仕込み(麦汁の生成、煮沸)」→「発酵」→「ろ過」→「パッケージング」の5つに分かれます。
ホッホクルツ製法は、このうち「仕込み」に際して使われる手法です。
製麦を終えた麦は、適度に細く粉砕されます。
粉砕された麦芽は、仕込槽と呼ばれる大きな釜に温水とともに入れられ、ドロドロしたおかゆ状の「マイシェ」と呼ばれるものに変化。
このマイシェを攪拌しながら温度を上げていくことで、デンプンやタンパク質が分解され、だんだんと液状になってきます。
高温で仕込みを行うことで、酵素の働きを活性化させ短時間でデンプンとタンパク質の分解(=糖とアミノ酸の生成)を行うことができる。ここまではわかるのですが、、、サッポロビールさん教えてください。。
北海道以外でサッポロクラシックを飲むには
まあ難しいことは分からずとも、美味いものは美味いです。本場の北海道で自然を感じながら飲みたいところですが、暫くは道外でいただきたいと思います。
色々と調べてみましたが、樽生で飲める店は北海道にしかなさそうな感じです。過去には置いてたみたいな所はありましたが。
缶であれば北海道物産展だったり、北海道フェアで購入できます。次に巡り合うのはいつになるでしょうか。
大阪麦酒探訪記3「CRAFT BEER BASE(クラフトビアベース)」
大阪2日目の昼。二日酔いの重い体を無理矢理起こし、梅田スカイビルの近くにある「CRAFT BEER BASE(クラフトビアベース)」さんへ行ってきました。
前々から行ってみたかった大阪のビアパブ。お昼の11時から空いている、呑兵衛には嬉しいお店。1Fにはレジと立ち飲みカウンターがずらり。樽生は4tap置いてあり、キャッシュオン形式です。(クレジットカードも使用可)
店員さんに「二日酔いに効くビールはありますか?」と無理難題を押し付けてしまいましたが、快く答えてくれました。
Fair State Roselle(フェア ステイト ローゼル)
オススメしてくださったのは、アメリカ・ミネソタ州のFair State Brewingから「Roselle」というケトルサワーセゾン。ハイビスカスを使用しているため、泡がなければビールと気づかない素敵な色合いを放っています。
Roselle is soured with our house lactobacillus strain and infused with hibiscus flowers, which lends the beer floral & citrus aromas, flavors, and its red hue. Tart, fruity, & floral.
ケトルサワーリングという手法を使っており、ホップ投入前の麦汁にラクトバシラスという乳酸菌を投入することによりビールに酸味を加えています。サワーエールの製法としては比較的新しく、日本のビールだと最近はFar Yeast Brewingが8月に販売開始した、限定醸造品「Far Yeast Kriek in the flesh」(ファーイースト クリーク イン ザ フレッシュ)がケトルサワーリングを採用しています。
落ち着きのある空間(2F)
2Fのテーブル席でゆっくりRoselleを堪能。普段はクラフトビールだろうとゴクゴク飲んでしまうのですが、体調が体調だけに落ち着いて味わえました。フルーティー感と爽やかな酸味が、疲れた身体を癒してくれましたね。ある意味、二日酔いに感謝です。
それにしても、内装・雰囲気共に素敵なお店で何時間もいたくなりました。自分の家の近くにこんな店があったら...!休日、ビールを飲みながら本を読んで過ごしたいものです。
2018年12月現在、大阪市内に5店舗を展開する「CRAFT BEER BASE」さん。それぞれ店舗によって特徴が異なるようです。
- CRAFT BEER BASE→今回訪れた店舗。海外ビール中心。
- CRAFT BEER BASE seed→阪神百貨店内。ボトル販売。
- CRAFT BEER BASE BUD→梅田駅直結。8tap、海外×国内。
- garden by CRAFT BEER BASE→自家醸造準備中?
- CRAFT BEER BASE BRANCH→こじんまり。国内地ビール。
全部回りたいですが、次に大阪へ行くのはいつになるのやら。
大阪麦酒探訪記2「Tap beer club VEND」
大阪1日目の深夜。会社の飲み会帰りに、心斎橋の「Tap beer club VEND」さんにお邪魔してきました。
はじめお店が見つけられず、google mapが指し示すところを5分ほどさ迷っていました。看板も出ておらず、まさか下の写真のコカ・コーラが入り口だとは...
写真を取り忘れてしまいましたが、隠れ家的な雰囲気のあるオシャレな内装のお店でした。他にお客さんはおらず、店長さんにあれこれオススメ聞きながら3杯ほど。かなり酔っぱらっていたので、記憶が曖昧な部分もありますが...。
tapは全部で8つ。チャージが500円かかりましたが、1杯400円で飲めます。取り扱いは現金のみでキャッシュオンスタイルです。
1杯目は、南信州ビールの「アップルホップ」。あまりフルーツビールは好んで飲まないのですが、甘ったるくなく爽快な味でした。締めとしてもいいかもしれません。見つけたらまた頼んでしまいそうな一杯です。
2杯目は、名古屋のブルワリー「Y.MARKET BREWING」から「フローラルドロップ」を頂きました。
センテニアルとローラルのホップを組み合わせることにより、瑞々しく清涼感のある、スッキリとした味わいのアメリカンペールエールが生まれました。
センテニアルホップは、米ワシントン州で1974年に作られた新品種。柑橘系とフローラルな香りが特徴。ローラルホップもまた、2016年の新品種で、フローラルな香りが特徴。フローラル×フローラルで、まさに「フローラルドロップ」。。。2月に名古屋へ行くので、また飲みにいきます。
3杯目は、北海道の忽布古丹(ホップコタン)醸造の「北の黒」。忽布古丹醸造さんは、道内で唯一商業用のホップを栽培する上富良野にブルワリーをかまえており、地ホップ100%のビールを提供しています。福岡でも飲めるところがないか探してみます。
続く。
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「Tap beer club VEND」
大阪麦酒探訪記1「ワールドクラフトビールバー」
週末は仕事の都合で大阪におりました。土曜日の朝、博多から新大阪へ向かう新幹線の中で読んだPRESIDENTでCOEDOが紹介されており、無性に飲みたくなったのですが、その3時間後には「毬花」を飲んでいました。
訪れたのは「ワールドクラフトビールバー」。大阪駅御堂筋出口近くの阪急の地下2Fにある「ワールドフードマーケット」の一角にあります。
とりあえず毬花の置いてある店はないか!という不純?な動機で訪れたのですか、たまたまベアードブルーイングさんが試飲販売をしており、楽しくお話をさせていただきました。自分の地元(静岡)の醸造所の方と、遠く離れた大阪の地で盛り上がれるのはいいですね。
ワールドクラフトビールバーでは、日本の有名どころの地ビールは勿論、海外のビールを買ってその場で開けてもらい、イートイン的なスペースで飲めるという聖地です。大阪に降り立つのは人生2回目でしたが、この先寄らずにはいられない場所になった気がします。
続く。
日本人の酒離れとビール離れは真実か
英語の勉強がてら、海外サイトのビールに関するニュースを読み始めました。学生時代、TEDやらNEWSWEEK等で英語に触れよう!と意気込んでいた時は続きませんでしたが、これなら続くかもしれません。
今日は、アメリカの小規模ブルワリーの業界団体「ブルワーズ・アソシエーション」のサイトから、こちらの記事をご紹介。
「CRAFT BEER REMAINS A GROWTH CATEGORY DESPITE HEADWINDS」https://www.brewersassociation.org/communicating-craft/craft-beer-remains-growth-category/
タイトルを意訳すると、「逆風に負けず成長し続けるクラフトビール市場」といったところでしょうか。
要点だけ押さえると、
・二桁成長を見せていた数年前と比べれば鈍化しているものの、アメリカのクラフトビール市場はいまだ成長を続けている。
・ミレニアル世代やZ世代の若者がお酒を飲まなくなったと言われてるけど、2018年の成人飲酒率は63%で1985年と変わんないよ?
・大麻の合法化でビールが飲まれなくなるってメディアが騒いでるけど、データ見ると合法化されてる地域の方がビールの出荷量多いよね?
世間が(メディアが?)心配しているほどビール業界の先行きは悪くないことを、事実(データ)を折り込んで訴えていますね。まさに業界団体の役割を果たしている記事です。
日本でもよく、若者のお酒離れ、ビール離れと聞きますが実際のところはどうなのでしょう。
最近のデータだと、2017年1月に日本酒造組合中央会が全国の20~79歳の3,000人を対象に行った「日本人の飲酒動向調査」があります。その調査によると、前回調査時の1988年と比較して、「お酒を飲む」と答えた人は全体で7.9%減少、「飲めるがほとんど飲まない(1988 飲めるが飲まない)」は18.3%増加、「飲めない、一切飲んだことがない(1988 飲めない)」は10.4%減少となっています。
前回調査と聞き方のニュアンスが微妙に異なるので正直比率の増減でどうこう言えないのですが...。少し驚いたのが、飲酒量が減った理由のトップが「体調や健康を気にするようになった」の一方で、増えた理由のトップが「誘われる頻度が変わった」でした。メディアに触れていると、若者が上司からの飲みの誘いを断るような風潮がありそうなイメージですが、一部を切り取って大袈裟に取り上げているだけかもしれませんね。
20代の若者は銘柄へのこだわりも少なく、新しいお酒へのチャレンジ精神が高いとも評されています。この傾向は斬新なスタイルを提供するクラフトビールにとっては追い風になるのではないでしょうか。
※調査詳細は下記参照
PRESIDENTにCOEDOの記事が掲載
300円ピザをつまみに「SUSANOO IPA」
今日11月30日~12月2日まで、「LINEデリマ」が、77%キャッシュバックのキャンペーンを行っています。LINEpayでキャッシュバックなので、LINEpayの登録が必須ですが、通常価額の23%で出前が取れるようなものです。これはお得すぎる。
そんなこんなで、実質300円で頼んだピザをつまみに、神戸の六甲ビール醸造所の「天地開闢 スサノオIPA」を頂きました。先月末に神戸に行ったときに飲んで美味しかったので、お土産(自分用)に買ったものです。
アメリカンスタイルのIPAで、柑橘系のトロピカルな味わいが特徴。イングリッシュスタイルと比べて、スッキリ感がありますね。IBUは51。苦味はやや感じるものの、特別強くはない気がします。ピザとの相性は抜群でした。
そもそもクラフトビールの定義とは
近年、徐々に浸透しつつある「クラフトビール」。日本においてその言葉に明確な定義はありませんが、「地ビール=クラフトビール」というのが一般的な認識だと思います。
一方、アメリカにおいては「クラフトビールは、クラフトブルワリーによって生産されたビール」であり、小規模ブルワリーによる事業者団体BA(Brewers Association)によって、下記の3要件を満たす事業者がクラフトブルワリーであると定められています。
Small(小規模)
Annual production of 6 million barrels of beer or less (approximately 3 percent of U.S. annual sales). Beer production is attributed to a brewer according to the rules of alternating proprietorships.
→年間のビール生産量が600万バレル(約7億リットル)以下であること。
Independent(独立性)
Less than 25 percent of the craft brewery is owned or controlled (or equivalent economic interest) by a beverage alcohol industry member which is not itself a craft brewer.
→クラフトブルワーではないアルコール飲料会社による所有率又は支配率が25%に満たないこと。
Traditional(伝統的)
A brewer that has a majority of its total beverage alcohol volume in beers whose flavors derive from traditional or innovative brewing ingredients and their fermentation. Flavored Malt Beverages (FMBs) are not considered beers.
→そのブルワリーにとっての主力製品であるビールの香りが、伝統的または革新的な材料と発酵方法によって生じていること。
お気づきだと思いますが、この定義に従うと、元々クラフトビールとして認められていたビールでも、企業として成長し生産量が拡大したり、買収されたりすると、その瞬間からクラフトビールではなくなるということになります。どこかクラフトブルワリーのプライドのようなものを感じますね。
日本でクラフトビールと呼ばれているものの中には、小規模で独立している地ビール企業のビールのみならず、大手が製造・販売しているビールも含まれています。今後、日本で「クラフトビール」という言葉がどういう意味を持っていくのか、注目です。
「クラフトビール革命」で紐解く米ブルワリーの歴史
「読書の秋」最後の週に私が読んだのは、2015年7月に翻訳出版された『クラフトビール革命 地域を変えたアメリカの小さな地ビール起業』。著者は、ブルックリン・ブルワリーの創業者スティーブ・ヒンディ。
表紙だけを見ると、ブルックリン・ブルワリーの創業と成長の歴史に焦点を充てた、いわゆる「ビジネスモデル紹介本」のイメージがあります。実際私もそうだろうと思って書店で手を伸ばしました。
しかし、読んでみるとブルックリン・ブルワリーについて書かれているのは全体の20%程(感覚です)。この本からは、「禁酒法の影響で1960年代初頭には50にも満たなかったアメリカのクラフトブルワリーが、なぜ一大市場を築くことができたのか」を知ることができます。
450ページあり中々にボリューミーな1冊ですが、ビール好きには勿論オススメですし、ベンチャー起業における市場の役割や、事業者の利害対立、ロビイング活動等のリアルな部分がノンフィクションとして描かれており、ビジネス書としても推せる一冊です。(若干のマニアック感は否めませんが笑)
ビール愛好家として考えさせられるテーマがいくつか散りばめられていたので、このブログでも私の頭の整理も兼ねて考察していきたいと思います。
クラフトビール革命 地域を変えたアメリカの小さな地ビール起業
- 作者: スティーブ・ヒンディ,木内敏之(木内酒造合資会社取締役),小野英作,和田侑子
- 出版社/メーカー: DU BOOKS
- 発売日: 2015/07/03
- メディア: 単行本
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